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話数単位で選ぶ、2018年TVアニメ10選

 

  年末恒例の企画である、「話数単位で選ぶ、2018年TVアニメ10選」を、今年は自分も記録してみることにした。

 

・2018年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。

・1作品につき上限1話。

・順位は付けない。

 

 上記ルールに則り、放送順に記していく。 

 

                     目次                     

  

1. グランクレスト戦記 第9話 『漆黒の公女』

grancrest-anime.jp

監督/畠山守 脚本/中本宗応 絵コンテ・演出/南川達馬 作画監督/前澤弘美、加藤明日美、中島里恵

 

 全24話あった本作品には心掴まれる名回がとても多く、どの話数を挙げるか悩みに悩み抜いたのだが、「絶対にこのアニメは最後まで見届けるべきだ」と強く心に決めた、まさに”物語が動き出す”最初のきっかけとなったこの第9話を選んだ。

 この回は、AパートとBパートを対比構造にすることでラストシーンの悲壮感、虚無感のようなマイナスイメージをより鮮烈に際立たせるように構成されていて、そうすることで物語の大きなターニングポイントとなる「王道と覇道の分かれ道」というものを強く意識させている。

 この回を皮切りに本作品は加速度的に面白くなっていき、特に11話、17話、19話なんかも屈指の名回である。

  

2. スロウスタート 第4話 『2階のプレミア大会』

slow-start.com

監督/橋本裕之 脚本/井上美緒 絵コンテ/金崎貴臣 演出/丸山裕介 作画監督石田一将、中島裕里

 

 本作も多くの良かった回がありとても悩んだが、特にラストシーンがとても印象的だったこの第4話に決定。

 一之瀬花名は、初めて他人に自分が浪人をしているということを打ち明けることができ、一方で万年大会は、過去のトラウマを少しだけ克服してコンビニに行くことができるようになった。似たような境遇の二人が出会うことで、ゆっくりだけど、でも確かに"小さな一歩"を歩き出すことが出来た回。EDの入るタイミングもあまりにも完璧すぎて鳥肌が立った。

 余談だが、本作の「しあわせは、ゆっくりはじまる。」というキャッチコピーが甚く気に入っている。めちゃくちゃ良い言葉…

 

3. 宇宙よりも遠い場所 第5話 『Dear my friend

yorimoi.com

監督/いしづかあつこ 脚本/花田十輝 絵コンテ・演出/澤井幸次 作画監督/日向正樹

 

 恐らく今年のアニメ作品の中で一番涙を流してしまった作品。この作品もどの回を選ぶか非常に悩んだが、やはりこの第5話はあまりにも衝撃的だった。

 この回では高橋めぐみという、「南極に行かないこと」に積極的な姿勢を貫いた少女にフォーカスを当てているのだが、自分はこの少女に対して少なからず自己投影をしていた。なぜならば、彼女は有り体に言えばどこにでもいるような平凡な価値観を持つ人間で、だからこそ自分と似た思考や言動が存在していたためである。そういった意味では、メインキャラクターの四人に比べて、より身近で等身大なキャラクターと言える。

 彼女は、玉木マリに対して優位性を保つことのできる今の環境の変化を常に恐れていた。自分にとって居心地のよい環境を手放すことを避けようとするのは誰しもがそうであり、"新しい一歩"を踏み出すということは途轍もない勇気を要するものである。勿論彼女も例外ではなかった。しかし彼女は、持てる全ての勇気を振り絞り、南極へと旅立っていく玉木マリに対して決別の意志を伝えた。その行為は誰にでもできることではなく、ましてや年端もいかない少女が行った決断としては、あまりにも殊勝であった。

 

4. あまんちゅ!~あどばんす~ 第9話 『終わりのない夢とナミダのコト』

amanchu-anime.com

総監督佐藤順一 脚本/赤尾でこ 監督・絵コンテ/佐山聖子 演出/佐々木純人 作画監督/大木良一、佐野はるか、村上雄、加藤愛、鶴元慎子、馬場一樹

 

 本作は、『ARIA  The ANIMATION』でも有名な天野こずえ×佐藤順一の黄金タッグによる作品で、「日常ときどきダイビング。」をキャッチコピーとし、ダイビング部に所属する少女たちの日常を描いている。繊細で美しい描写で、日常の些細な出来事の中に幸せを見出していくような作風は相変わらず健在だった。

 一期の時はほぼファンタジー要素がなかったのだが、二期に入ってからは半分くらいの話数でファンタジー要素が織り交ぜられていた。

 そんな中で、これまでの話とは少しだけ毛色が違い、ひときわ印象的だった回がこの第9話。この話での主要人物は「姉ちゃん先輩」こと二宮愛と、ダイビング部顧問の火鳥真斗の二人。彼女たちは、「ピーター」と呼ばれる少年の夢の中の世界で、彼を救うべく奔走する。そんな中で、二宮愛は自らの気持ちに気付くのだが、そこに至るまでの心的描写の上手さ、台詞回し、間、表情、どれを取っても完璧だった。

 ラストシーンの彼女の弟との会話は本当に切なく、あまりにも胸が苦しくて嗚咽しながら泣いてしまった。個人的2018年ベストヒロインは二宮愛。

 

5. こみっくがーるず 第12話 『いってらっしゃいませ 立派な漫画家さまたち』

comic-girls.com

監督/徳本善信 脚本/高橋ナツコ 絵コンテ・演出/徳本善信 作画監督/齊藤佳子、野田康行、明珍宇作、北原大地

 

 顔がグチャグチャになるくらい泣いてしまった最終話。本作は本当に良い回が多く、何度も泣かされた作品で、どの回を選ぶか非常に悩んだ。おそらく今後の人生の中でも何度も見返す作品になるだろう。

 そんな中で最終話を選んだ理由となるとても印象的なワンシーンがあった。それは、萌田薫子の母親が薫子のことを「かおす先生」と呼んでいたシーンである。このワンシーンで、一人で漫画を描く決心をして実家を出て行った娘に対しての、計り知れない愛情とリスペクトが込められてた。自分はこのシーンで完全に食らってしまった。

 今年のまんがタイムきらら作品は本当に良質なものが多く、個人的にはとても楽しい一年間だった。

 

6. すのはら荘の管理人さん 第8話 『みみかき 迷子 打ち上げ花火』

sunoharasou-anime.com

監督/大沼心 脚本/永井真吾 絵コンテ/二瓶勇一 演出/五味伸介 作画監督/西尾聡美、水崎健太、今田茜、佐藤香織、髙橋瑞紀、藤田亜耶乃

 

  "「すべてのあまえんぼうさんに贈る」年の差ラブコメ決定版"という売り文句は伊達ではなく、全編を通してあまえんぼうさんになってしまったのだが、その中でも特に、この第8話はあまりにも愛の溢れた回で思わずポロポロ泣いてしまった。

 ここでいう「愛の溢れた回」というのは、もちろん物語の中の登場人物の愛が溢れていたというのもそうだが、それだけではなく、この作品の魅力を最大限まで伝えるべく力を尽くしているスタッフの作品愛がいっぱい詰まっている、という意味でもある。そういったことを強く感じた素晴らしい回だったので選出させて頂いた。

 

 それはそうと春原菜々(cv.佐倉綾音)のことがマジで好き…

 

7. ハッピーシュガーライフ 第12話 『ハッピーシュガーライフ』

happysugarlife.tv

監督/長山延好 脚本/待田堂子 絵コンテ・演出/長山延好 作画監督中山和子、池原百合子、飯塚葉子、奥野倫史、藤田和行、近藤健司、菊池一真、西尾淳之介

 

 正直に言えば、この最終話を見るまではそこまで評価の高かった作品ではなかったのだが、最後の最後で視聴後身動きが取れなくなるくらい食らってしまった。

 これから見るという方にも一応配慮して詳細は伏せたいので、とにかく心に残った最終回であったということだけを書いておこうと思う。もしそういった方がいれば是非とも二人の少女の顛末を見届けてほしい。

 待田堂子、おそるべし………

 

8. CONCEPTION 第8話 『俺の子どもを、へいらっしゃい!』

conception-anime.com

監督/元永慶太郎 脚本/柿原優子 絵コンテ/永居慎平 演出/半田大貴 作画監督/涂鴉侠、竹内一将、吉田肇、山本雄貴

 

 今年イチネジが外れてしまっていた奇回。全編を通して頭のおかしい(良い意味で)作品だったが、特にこの第8話はあまりにも頭がおかしく腹がよじれるくらい笑った。個人的には、あのワルキューレロマンツェ第7話を彷彿とさせるようなとんでもない回だった。

 こういったような、全力でアホなことをやっているアニメ作品の好きな点として、「このアニメの製作陣はとても楽しそうだ」というのがひしひしと伝わってくるというものがある。製作者が楽しんでいるからこそ、視聴者である我々も身を任せて全力で作品を楽しむことができると思っている。

 こんなにもふざけたアニメに対して、少しでも真面目なことをコメントしてしまったのが非常に悔しいのだが、このCONCEPTIONも最後にちょっとだけ真面目な話をやる。実際、素晴らしく良い終わり方だったのだが、これは不良がたまに良いことをするとその内実以上に評価されてしまう現象と同じやつだと思いたい。

 

9. ゾンビランドサガ 第5話 『君の心にナイスバード SAGA』

zombielandsaga.com

監督/境宗久 脚本/ますもとたくや 絵コンテ・演出/佐藤威 作画監督佐々木貴宏、柳隆太

 

 2018年を締めくくるに相応しい渾身のアニメオリジナル作品の本作。佐賀を舞台とし、ゾンビとして生き返ったヒロインたちは「フランシュシュ」というグループとしてアイドル活動を始める。その中で彼女たちは『生きるとは何か』という命題に向き合うのだが、ゾンビという設定を扱うことでそれをより強調しているのは偏差値が高いなと思った。コメディとシリアスのバランス感覚も絶妙で、泣いたり笑ったり顔が随分と忙しいことになってた。

 

『ゾンビランドサガ』佐賀県の色が濃く出た第5話田中美海さん&関係者たちで語る【連載】 | アニメイトタイムズ

 

 このインタビューを見てもわかる通り、とにかく製作陣がとても楽しそうに作品を作っていて、その雰囲気が作品を見ても伝わってくる。自分はそういった作品が大好きなので、全編通して良い回がとても多く非常に悩んだのだが、特にそういった魅力が色濃く出ていると感じたこの第5話を選んだ。

 

 ナイスバード!!!!!

 

10. メルクストーリア -無気力少年と瓶の中の少女- 第7話 『夢添いの君と忘却の町(後編)』

www.mercstoria.jp

監督/追崎史敏 脚本/内田裕基 絵コンテ・演出/笹原嘉文 作画監督/山本真理子、近藤いずみ、臼井篤史、しまだひであき、谷口繁則

 

 『アスタロッテのおもちゃ!』『えとたま』『セントールの悩み』等のアニメを手がけている、追崎史敏監督作品の本作。個人的にとても好きな監督の一人で、特に「優しさ」の表現が非常に精緻であり、こういった部分に関しては他の追随を許さないものがあると思っている。

 そんな本作だが、原作はソーシャルゲームの作品で、テーマはズバリ「癒し」。そんな作品に追崎史敏を監督として起用してしまえば、どうあがいても泣いてしまうに決まっている…。

 そんな中でも、特に涙が枯れるくらい泣いてしまったのがこの第7話。正確には第6話と前後編という形になっていて単話というにはいささか疑問が残るのだがご容赦願いたい。この話では、「すれ違う親子の愛」を描いている。優しさの形というものは人によって様々で、だからこそすれ違ってしまう場合もある。しかし、そこに愛は確かに存在していて、それをゆっくりと互いに見つけ出していく話。とにかくに溢れた回で、原作のテーマと追崎史敏の手腕による相乗効果で、溢れんばかりの「優しさ」が詰まっていた。

 

おわりに

 2018年は本当に面白い作品が多く、沢山の興奮や感動を貰った。10選には入らなかった作品の中にも顔がグチャグチャになるくらい泣いた作品も多々ある。

 去年までは、文章を書くのが億劫だったということもあり、こういった感想などをしっかりと書くというようなことは滅多にしないでいたのだが、今年はアニメを見る度に一言二言程度はアーカイブとしてコメントを残していくようにしていた。

 拙い文章でも、記録を残すことに意味があると思いたいので、これからもちょこちょこと何かしらを書いていきたいと思う。